迷宮金魚

□ 蜜恋エンゲージ 一途な公爵の甘い誘惑 番外編 □

蜜恋エンゲージ 一途な公爵の甘い誘惑 番外編3

 
「おおせのままに、お姫様」

 くすりと笑って、彼はイリーナの手の甲に口づけた。それから、そっとイリーナの鼻先にキスを落とす。
 思わず漏れた不満げな声に、彼は喉の奥で笑った。じれったくなって、彼のシャツを掴む手に力がこもる。

「ん、ごめん」

 ゆっくりと唇を重ねられたら、身体中に甘い疼きが走った。この別荘に来てから、何回身体を重ねたのかなんて数えることもできない。

 毎晩のように与えられた快感の記憶が、ささいな触れあいからでさえも呼び戻されてしまう。胸がちりちりとし始めて、キスの先をねだりたいような気がしてくる。

「……もっと」

 唇が離された隙に、イリーナはねだった。ただ、触れ合わせるだけのキスなんて物足りない。イリーナに、もっと深いキスを教えたのはマティアスなのに。

 彼の顔を引き寄せて、もっと深く口づける。下唇を自分の唇で挟んで軽く吸い上げたら、そうしたイリーナの方がぞくぞくとしてしまった。

 唇を離したかと思ったら、今度はマティアスの方が追いかけてくる。ぴちゃりと音を立てて舌を絡められ、聴覚からも刺激された。

「ぁっ……ん、あんっ」

 自分の声が甘ったれているのを自覚して、耳が熱くなる。こらえきれずにもぞもぞとすると、両耳を彼の手でふさがれた。

「やぁっ……ん、ん……」

 耳をふさがれたことによって淫靡に舌の絡み合う音が、頭の中で響いているみたいで、ますます羞恥心を煽られる。優しく舌の表面をさすられ、手前の方へと引っ張られた。左右に揺さぶられたら、お腹のあたりがじわりと熱くなったような気がした。

「……っは、あぁ」

 キスの合間に、彼の絵はゆっくりと背中に並んだボタンを外し始めている。そのことにも気がつかないまま、イリーナは甘いキスに夢中になっていた。

「あ、待って……!」

 気がついた時には、着ていたドレスが両肩からするりと下ろされていた。いつの間に全部のボタンが外されていたのかわからない。居間にいるのに、自分が下着姿をさらそうとしていることに慌てた。

「だめっ……、待って」

 イリーナが身を捩る動きを利用して、マティアスはイリーナの腕を袖から抜いてしまった。イリーナが顔を赤くするのを見て、くすくすと彼は笑う。

「赤くなって――可愛いな、イリーナは」
「だって」

 真っ赤な顔をしているイリーナは、ドレスを引き上げようとするが、それも彼の手によって阻まれた。レースをふんだんに使ったシュミーズに包まれた胸が、恥ずかしげに震える。

「イリーナは可愛いよ。ここがリンゴみたいになってる」
「それはほめ言葉じゃないわ」

 頬が真っ赤になっていることを指摘されて、イリーナは顔をそむけた。真っ赤になっているところを、彼には見られたくない。そんなイリーナの頬に、さらに彼は唇を押しつける。

 それと同時に、今度は乳房に手がかかる。薄い下着越しに触れられえ、胸の頂がきゅっと硬くなった。凝った頂を、マティアスの指が布地越しに探り当てる。なめらかな絹地と共に転がされて、下腹部に愉悦の波が漂い始める。

 じわじわと身体を浸食してくる喜悦の予感にイリーナはわなないた。まだ日も高く、いつ誰が入ってくるのかわからない居間――むろん使用人はいきなりドアを開くような真似はしないけれど――なんて、マティアスから与えられる快感をより淫らなもののように感じてしまう。

「――あ、待って……!」

 もう一度胸の頂を捻られて、イリーナは背中をしならせた。拒む言葉は途中で消え失せてしまう。

「……ん、あ、あぁっ!」

 今度は布地ごとひっかくようにされて、新たな喜悦が走り抜けた。マティアスの背中に回した腕に力がこもる。ぎゅっとシャツを握りしめたら、今度はシュミーズの肩紐が下へとずらされた。

「待って、こんなの……よくない、わ……!」
「ここには俺とイリーナしかいないんだから、問題ないよ」
「あ、ん、んっ」

 シュミーズが下ろされ、剥き出しになった乳房にマティアスは顔を寄せた。胸の谷間をぺろりと舐められ、イリーナの口からは甘い声が上がり、同じように何度もその場所を舌が這う。

「だめっ……やだ、ぁんっ」

 自分の甘ったれた声に耳を塞ぎたくなる。それもできなくてもじもじとする。先ほどまで布越しにいじられていた場所がじんじんと疼いてイリーナを悩ませた。

 胸の谷間を舐めていた舌が、硬くなった頂へと矛先を変える。艶めかしく色づいた場所をぐるりと舌がなぞり、そのまま押しつぶされた。とたん、今までより濃厚な快感が身体を走り抜けていく。

 こらえきれずに肩を揺すると、そのまま彼の口内に吸い込まれた。口内の熱が、より快感を深めていく。

「マティアス……ふ、あぁっ」

 自分がソファに横たわっていることも忘れて、内腿を擦り合わせた。下腹部の奥が、切なく疼いてイリーナを悩ませる。

 何か言わなければと思うものの、快感に霞のかかっている頭では、適切な言葉を見つけだすことさえできなかった。



※サイト掲載のこの短編は、2015年11月発売乙蜜ミルキィ文庫の関連作品です。 ■初出 乙蜜ミルキィ文庫「蜜恋エンゲージ 一途な公爵の甘い誘惑」(リブレ出版刊)
2017年7月1日発売
パーフェクト愛され人生確定…ですか? 転生したらメロ甘陛下のおさな妻(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    蜜恋エンゲージ 一途な公爵の甘い誘惑 番外編2      蜜恋エンゲージ 一途な公爵の甘い誘惑 番外編4 
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Date:2015/11/21
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