迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

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□ 熱愛皇帝の甘い鎖 番外編 □

熱愛皇帝の甘い鎖 番外編(1)

 
 オリアーナは、鏡を見て息をついた。大丈夫だろうか――あまり見苦しくなければいいけれど。

「準備できたか?」
「エルヴィン様……私、本当にこれで問題ないかしら」

 今日のオリアーナは、深い緑色のドレスに、真珠の首飾りを合わせている。繊細なレースがドレスの胸元や手首を飾り、とても華やかな雰囲気だ。

 ドレスも宝飾品も文句なく美しいし、侍女達が総出で美しく見えるように仕上げてくれたのもわかっている――それでも、不安なものは不安なのだ。

「お前はすぐに自信をなくすんだな。大丈夫だと何度も言っているだろうに」
「……それは」

 オリアーナは視線を床に落とした。エルヴィンと並んで立って、自信を失わない方がどうかしていると思うのだ。彼の方はいつもと変わらず気楽な様子で、その落ち着きが少々羨ましく思えたりもする。

「『愛妃の庭園』で園遊会を開くのは初めてでしょう。何か間違いがあったらと思うと――どうしても怖くて」

 エルヴィンの祖父が作らせた『愛妃の庭園』は、身体の弱かったブランシュ妃のために作られたものだ。長い間、皇族と手入れをする庭師以外は立ち入りを禁止されていたのだが、エルヴィンの代になって開放されることが決まった。

 とはいえ、庭への立ち入りを許されるのは、エルヴィンに選ばれたごくごく少数の人だけだ。この庭園で開催される催しに招待されるか否かが、今現在、帝国貴族達の中でもっとも関心の高い出来事だった。
 エルヴィンとオリアーナの婚姻が正式に成立してから三カ月。初めて『愛妃の庭園』に人を招くとなればオリアーナの緊張もいやがうえに高まってしまう。

「オリアーナは、何も心配しなくていい。ほら、行くぞ」

 エルヴィンがオリアーナの腕を取る。そろそろ時間なのも本当のことだったから、オリアーナは素直に彼に従って部屋を出た。
 今日、招待した貴族は約二十名。庭園にテーブルと椅子を用意し、散策したり、飲み物や焼き菓子を好きにつまめるように準備した。

「……問題はないかしら」

 エルヴィンが、他の貴族達と話をしているのを横目で見ながら、オリアーナはテーブルの上をすばやく確認する。
 大丈夫だ、用意した食べ物はまだ十分に足りている。テーブルの上が空になっているということもない。

「もし、よかったら、あちらの方を見てきませんか」

 オリアーナは近くにいた伯爵令嬢に声をかけた。近いうちに行儀見習いの一環で、侍女として城に上がることが決まっているらしい。今のうちに声をかけておいて、少し、安心させてやったほうがいいかもしれない。

「ありがとうございます! あの……とても、嬉しいです」

 オリアーナの方から声をかけると、彼女は真っ赤になった。どうやら、皇妃から声をかけられるとは思っていなかったようだ。
 他に招待されていた二人の令嬢と共に、オリアーナは庭園の奥の方へと彼女達を案内していった。

「……今日は、天気もいいですね」

 令嬢の一人が空を見上げた。硝子の天井越しにきらきらとした青空が見えている。今日はいつも以上に空が青いように感じられた。

「ええ、天気がいいから今日は花もいつも以上に綺麗に見えるわ。そこには一年中百合が咲いているの――あちらの池には睡蓮も」
「素敵!」

 オリアーナの説明に、彼女達は忙しく視線を左右に走らせる。庭園の南端まで来て、オリアーナは足を止めた。

(……やだ、私ったら……)

 オリアーナの頭の中を、この庭園の中で生活していた時のことが過ぎった。いつの間にか馴染んでしまっていたものの、この庭園に閉じ込められたのが納得できなくて脱走を図ったことがある。

 すぐにエルヴィンに捕まってしまって、格子に拘束された上で強引に抱かれた。ちょうどその場所に立っていて、一気に頭が熱くなる。

「オリアーナ様、どうかなさいました?」
「い、いえ……なんでもないの。ほら、そこに漁をしている船が見えるでしょう。今日は漁に向いている日なのかしら。いつもより船の数が多いような気がして」

 まさか、エルヴィンとのことを思い出していたとはいえないから、慌てて話題を変える。不意に後ろから声が聞こえて、オリアーナは飛び上がりそうになった。

「明日は港で祭りがあるからな。おそらく、そのために魚をたくさん用意しているんだろう」
「あら、そうなのですか? 全然、知りませんでした」
「街で行われる行事も少しずつ把握していくといい。なかなか面白いものもあるぞ」
「はい、エルヴィン様」

 もちろん皇妃となる前に一通りの教育は改めて受けたけれど、城下の街で行われる行事までは頭に入っていなかった。さっと答えが出てきたということは、きっとエルヴィンは全て覚えているのだろう。

(……やっぱり、つりあわない気がしてならない)

 気を抜けば、そんなことばかり考えてしまう。オリアーナが視線を揺らしたのに気づいたらしく、エルヴィンはすかさず彼女の方へ身を屈めてきた。

「お前は、よけいなことを気にしなくていい」

 エルヴィンのその言葉に、ついほっとしてしまう――それが危険なこととはわかっているけれど。

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Date:2016/08/28
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