迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    熱愛皇帝の甘い鎖 番外編(1)      熱愛皇帝の甘い鎖 番外編(3) 
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□ 熱愛皇帝の甘い鎖 番外編 □

熱愛皇帝の甘い鎖 番外編(2)

 
「明日は、祭りに連れて行ってやろうか」

 夜の寝室で、不意にエルヴィンがそう口にした。寝台に横になって本を眺めていたオリアーナは本を閉じて身を起こす。

「お祭り、ですか」
「ああ。明日は特に予定も入ってないだろう? お前が行きたいのなら連れて行ってやる」
「行ってみたい……です。でも、本当に大丈夫でしょうか。身分を隠していくのでしょう?」
「もちろん、そのつもりだ。公式の訪問だと、見えないものもたくさんあるからな」

 結婚前からしばしばエルヴィンはお忍びで街を出歩いていた。彼自身、剣の腕は十分以上に立つから、自分の身ぐらいは自分で守ることができる。その他に、警護の者も何人も連れているのだが、皆たくみに街中の人達に紛れ込んでいた。

 何度かオリアーナも同行させてもらった時、総勢三十名以上が見事にまぎれていたのでびっくりした。エルヴィン一人なら半分でいいけれど、オリアーナを連れて行くということでそのくらいの人数になったらしい。

「でも……負担になってしまうのでは?」

 オリアーナには、自分の身を守る術などあるはずもない。何かあった時、エルヴィンの足を引っ張ってしまうことになるのは確実だ。

 もちろん、身分を隠して彼と出かけるのはとても楽しい。皇帝と皇妃という立場を忘れて、気ままに街中を歩いていると――その時だけは、皇妃の重圧から逃れることができるような気がするから。

「オリアーナがそこを心配する必要はない。俺がついているだろう?」
「……はい、そうですね」

 エルヴィンの隣にいると、時々自分の幸せが怖くなる。エルヴィンとは、結ばれることなどありえないと思っていたのに。

「あ、それは――だめです、返してください」
「何だ、またこの本を読んでいたのか。これは、子供向けの物語だろう」

 オリアーナが眺めていたのは、子供向けの絵本だった。精緻な筆致で美しい挿絵が描かれていて、子供の頃は何度も繰り返し眺めていた。

 オリアーナがそんなに何度もこの本を眺めていた理由は、それだけではないけれど。

「それは、エルヴィン様がくださった絵本です。この絵本を眺めていると、とても――落ち着いた気分になるんですもの」

 それは、彼が皇帝となる前の話。時折、オリアーナの母国を訪れた彼は、オリアーナへの土産を持ってくるのを忘れたことはなかった。

 とはいえ、当時十代後半の彼に十歳年下の少女への土産物なんて見当もつかなかったのだろう。オリアーナが読むには、少々対象年齢が下過ぎたけれど彼の好意が嬉しくて、何度も何度も読み返した。

 結婚前に、この国を訪れた時もきちんと荷物に入れて持ってきた。寝る前に寝台で本を眺める時、この絵本を寝台に持ち込むことが多いのもまた事実だった。

「……贈ったことを忘れているわけじゃない。まだ、持っていたことに驚いただけだ」

「エルヴィン様から頂いたものは、全部大切にとってあるわ。宝物だもの」

 出会ったその日に彼が拾ってくれたリボンも、贈られた人形も絵本も全て宝物だ。いつもどこに行くのにも持ち歩いている。

「……香油をやったことはなかったか? それはどうした」
「いただきました……けれど、使えなくて」

 成人として認められてすぐエルヴィンからもらった香油は、大人と認められたみたいで嬉しかった。使うことができなくて、そのまま大切にしまいこんでしまった。

 何度も、蓋を開けては香りをかいで。

「使うためにやったのに、それじゃ意味がないだろう」

 けれど、彼はちょっと不満そうだった。

「今度新しいのを贈る。今度はちゃんと使え」
「はい、エルヴィン様」

 くすくすと笑いながら、オリアーナは彼に身を寄せた。きっと、新しい香油は使ったとしても――やはり、彼からの贈り物だと思えば、容器を捨てることもできない気がする。

(……だって、好きなんだもの)

 ずっと彼に片想いをしていた。これからだって、彼への想いはどんどん大きくなっていくことだろう。

 彼の身体にぎゅっと腕を巻きつけたら、不意に彼が後ろに身体を倒す。次の瞬間には、天井を見上げる体勢になっていた。
 オリアーナは目を瞬かせた。いつの間に、体勢を変えられたのだろう。オリアーナにはわからない。

「明日の仕事は全部今日中にこなすか、別の日に振り替えた。俺もお前も明日一日ゆっくり休むことができる――ということは、わかるな?」
「……んっ」

 彼の唇が首筋に落ちる。かすかなざわめきにオリアーナは身を捩った。これから先、彼が与えてくれる快感がどれほど大きいのか、オリアーナはもう知っている。

「……み、港に行くのは……午後、からですか……?」
「昼過ぎだ。久しぶりにのんびりすることができるな」

 早くも甘い吐息を零し始めたオリアーナに対して、エルヴィンの方はまだ余裕だ。彼の唇が喉を這い、早くも寝間着のボタンが外され始める。

 シーツの上に投げ出していた手に、彼の手が重ねられた。ゆっくりと手のひらの中央を撫でられて、思わず喘ぐ。

「お前は本当に手が弱い」

 オリアーナの手を弱くした張本人がそう言うのに抗議の声を上げながらも、オリアーナはそれ以上抵抗することなく、彼に身を任せたのだった。

2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

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Date:2016/08/31
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