迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(3)      えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(5) 
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□ えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ! 試し読み □

えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(4)

 
 翌朝、ヴィアナは早朝に目を覚ましてしまった。念入りに鏡を見て、自分の顔を確認する。

「――今日からお城で働くんだから、しっかりしないと」

 お城では今までよりたくさんの人に会うことになる。気合いを入れて行かないと。

「……よしっ」

 ぱんと両手を打ち合わせて、気合いを入れ直す。

 今日、初めて王城に行くのだからと今日の服は実家を出る前に決めてきた。

 青いワンピースドレスに黒い靴。髪につけるリボンは、ドレスと同じ布地だ。きゅきゅっと髪を手早く結って、もう一度鏡の中を見つめる。

 大丈夫、たぶん――大丈夫。

 ヴィアナの住んでいた村には、家族の他には三十人しか住んでいなかったから、あまりたくさんの人と接するのには慣れていない。

 ますます高まる緊張を、胸に手を当てて押さえ込もうとする。

 昨日泊まったこの街は王都ルーアンから半日ちょっと離れているとはいえ、かなりの都会。ヴィアナの暮らしていた村とは全然違う。

 こんなに朝早いというのに、たくさんの人が道を歩いていて賑やかだ。

 窓を開けてみると、少し離れたところにあるという市場の喧噪が、ヴィアナのいるこの部屋まで響いてくる。

(そう言えば……王太子殿下のお名前もブライアス様だっけ。お城に行ったら、遠くから見ることくらいはできるかしら)

 ヴィアナの身分では、王太子に会う機会なんてあるはずもない。見かけることがあったら、里帰りした時に友人達に自慢することができる。

 部屋に運ばれてきた朝食をきちんと食べ、たった一つの鞄を持って階段を下りるとバートが待ち構えていた。今日の彼は茶の上着を着ていて、とても爽やかな雰囲気だ。

「――おはようございます、バートさん」
「おはよう、ヴィアナ――さて、行こうか」

 城から回されてきた馬車は、昨日までヴィアナ一人しか乗っていなかった。今日はヴィアナ一人ではなく、バートもいてくれるから少し安心だ。

 バートと向かい合うようにして馬車に座ると、すぐに馬車は動き始めた。

「お昼ご飯を食べたら軽く休憩して、それからお城に入るよ。そこで君の仕事について話があると思うから」
「は、はいっ」

 思わずヴィアナの背筋が伸びる。

 馬車の座席に背中を預けることもしないでかちんこちんに固まったヴィアナだったけれど、不意に芽生えた疑問をバートにぶつけずにはいられなかった。

「あの、一つ聞いてもいいですか」
「うん、いいよ」
「今回、私がお城で働けるようにしてくれたのって――バートさんの推薦ですか? 他にお城に知り合いなんていないし」

 そうたずねると、バートは困ったような顔になった。それからちょっとだけうなって、慌ててその声を押さえつけるように口に手を当てる。

「そうだね、僕の推薦と言えば推薦かな。推薦されて、迷惑だった?」

 その問いには、ヴィアナは首を横に振った。

(もう、これ以上傷つきたくないし)

 ヴィアナの家族をのぞいたら、三十人しかいない村なのに、十八を過ぎても婚約さえ決まらないヴィアナは、周囲から同情されていた。

 きっと、自分では気づいていないけれど、男の人が話したくないと思う何かがヴィアナにはあるのだろう。

(……お城で、出会いがあったら――なんて、ちょっと考えちゃったりしたけど……お仕事頑張った方がよさそう)

 そんな風に思っているなんてバートには言えなかったから、腕をぎゅっと曲げて力こぶを作って見せる。

「大丈夫、意外と働き者なんですよ、私」
「君が働き者なのは、僕はよく知っているけど、その腕じゃ力こぶはできないでしょう」

 くすりとバートが笑い、それを見たらヴィアナもなんだかおかしくなってしまう。

「朝早く出発させちゃって悪かったね。お城まで時間がかかるから、眠たかったら眠った方がいいよ。僕もそうさせてもらうし」

 ヴィアナに与えられる仕事なんて、たぶんそれほど重要ものではないだろう。

 けれど、何かミスがあったら、実家の両親に迷惑をかけることになりかねない。

 城に到着した時には、気力を充実させておいた方がよさそうだ。目を閉じて、もたれていたら、少しは頭も身体も休まるはず。

(そうね……昨日の夜はあまり眠れなかったから……)

 ヴィアナは、ありがたくバートの言葉通りに目を閉じた。

「……ヴィアナ、起きて」

 不意に肩を叩かれて、ヴィアナは飛び起きた。自分がどこにいるのか一瞬わからなくなって、慌てて首を左右に振る。

「あのっ……ご、ごめんなさいっ」

 よだれは垂らしていなかっただろうか。慌てて口元を手で押さえる。

 大丈夫、かろうじてよだれは垂らしていなかったみたいだ。

 結局、途中で昼食の時間に起きた以外はずっと眠ってしまっていた。緊張しているはずなのに、眠気には勝てないらしい。

「悪路ならともかく、舗装された道を馬車で行くのって最高に眠くなるよね」
「ごめんなさい、バートさん」
「もうすぐ都のルーアンに入るよ。そこから先、お城まではすぐだから、今のうちに目を覚ましておいて」
「はい」

 都の門のところには、門番が立って厳重に警戒されている。バートが門番に何かを渡して数語かわすと、二人の乗った馬車は最優先で門をくぐることを許された。

「わあっ」

 馬車の窓に張り付くようにして外を眺めていたヴィアナは、目の前に広がった光景に思わず大声を上げた。

 昨日宿泊した街もけっこうな賑わいだったと思うけれど、やはり王都ルーアンともなると違う。

 馬車が行き交うために車道と歩道が別々に作られている。馬車も左側通行と決められているようで、互いに譲り合って進んでいる。

「……すごいすごい!」

 そんな素直な言葉しか出てこない。馬車は、城までまっすぐに続く大通りを走っているところだった。

 前方に見える巨大な王城はぐるりと高い塀に囲まれていて、その向こう側に優美な塔をいくつも持った高い建物が見える。

「すごいすごいって、今からそんなに感動していたら身がもたないと思うよ」

 くすりとバートが笑う。でも、今は彼に笑われるのも気にはならなかった。

 だって、すごいものはすごいのだ。

 ヴィアナの暮らしてきた村では、一番高い建物がヴィアナの実家。それも三階建てで、あんな立派な塔なんてついていなかった。

「僕達は使用人だから、裏口から入るよ。正面からお城の光景をヴィアナに見せてあげたかったんだ」

 ヴィアナはうんとうなずいた。

(バートさんって、やっぱり親切な人なんだわ)

 思えば、昔隣に住んでいた頃もバートはそうだった。

 やんちゃするブライアスを追い回すついでに、ヴィアナ達の面倒も一緒に見てくれた。

 ヴィアナを筆頭に小さい子供が五人もいたのだから、ブライアス以外の面倒を見るのはとても大変だったはずなのに。

(ブライアス……元気にしてるって聞いたけど……いつか会えるかしら)

 ブライアスが隣に住んでいたのは、たった四年。でも、その間彼と過ごした時間は、子供の頃の思い出の中でも特にキラキラしている時だったと思う。

(ううん、今はブライアスのことはどうでもいいの。それより、これからのお仕事のことを考えなくっちゃ)

 朝、鏡を見て気合いを入れたことを思いだし、えいと拳を握りしめる。

 今日からあのお城で働くのだ――。

 そんなヴィアナの決意を知るよしもなく、馬車は王城の裏手にある使用人専用の通用門の方へと向かっていた。


こちらは2017年2月1日発売【えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!(ジュエル文庫)】の試し読みです。編集部の許可をいただいておりますが、途中までの公開となることをご了承ください。また、最終校正版ではないため、実際の書籍と多少異なるところもございます。

2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
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Date:2017/02/04
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