迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(4)      えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(6) 
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□ えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ! 試し読み □

えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(5)

 
 長い廊下を歩きながら、ヴィアナは手のひらにも背中にもだらだらと汗をかいているのを感じていた。いや、額も汗だくだからきっとみっともない顔をしているに違いない。
 
(わかってた、わかってはいたんだけど……)

 けれど、バートはそんなヴィアナにはかまうことなくてくてくと先を歩いていく。彼の落ち着き払った空気がちょっぴり憎らしいなんて思ってしまう。

(使用人の居住区って聞いていたのに、なんで……こんな……)

 さすが王城、とでも言うべきなのだろうか。

 裏口の使用人専用通路から入ったはずなのに、通された入口から続くのは三階分くらいはありそうな、やけに天井の高い廊下だった。

 窓も大きめに取られていて、天井近い部分はステンドグラスだ。赤や青や緑のガラスを通った日光が、廊下に柔らかな光を注いでいる。

 それだけではなくて、天井にはドラゴンやユニコーンといった空想上の生き物が画かれていて、天使や白いドレスを身にまとった聖女がヴィアナを見下ろしている。

(場違い、場違い……私ったら、ものすごく場違いな気がする……!)

 王城に行くからと、ヴィアナが選んだ一張羅のワンピースドレス。

 自分の部屋で見た時にはすごく可愛く見えたのに、これだけ豪勢な場所に来たとたんにみすぼらしく見えてくる。

 バートに連れられて歩いている最中、何人かの使用人とすれ違ったけれど、彼女達が身に着けているおそろいの制服の方がよほど高級な仕立てなんじゃないだろうか。

「あのっ、バートさん……私、本当にここで働くんですか……?」
「何を言っているの? 君に来て欲しいから、僕がわざわざ迎えに行ったんだろうに――君が来なかったら、首に縄をつけて引っ張ってこいというご命令だったんだよ」

 数歩先を歩いていたバートが振り返って、あきれたような顔になる。そんな目で見られて、ヴィアナはいたたまれなくなってしまった。

(首に縄をつけてって……ずいぶん大げさな気もするけれど)

 ものすごく美しいとか、お金を持っているとか、何か秀でたものがあれば違うだろうけれど、ヴィアナ自身はいたって平凡な人間だ――平凡な人間だと思う。

 家にいれば弟妹の面倒を見て、季節の果物でジャムを作って、ケーキを焼いて。食事の用意をしたらテーブルを整えて――都にいる貴族のお姫様はそんなことしないのだろうけれど、ヴィアナの家では自分でできるものはなんでも自分でするのが決まりだった。

(……でも、そんな特技、お城じゃ役に立たない気がするの)

 いったい、ヴィアナの首に縄をつけてでも引っ張ってこいと命じた人は、何を考えていたんだろう。それきりバートも口を開かなくなってしまったから、彼の背中を見て必死に後を追う。

 やがて、ヴィアナを連れたバートがたどり着いたのは、とても立派な扉の前だった。

(……使用人の仕事部屋にしては、ずいぶん立派な扉だと思うんだけど……)

 とはいえ、ヴィアナが知らないだけで、城の偉い使用人になるとこのぐらいの部屋でも当たり前なのかもしれない。

 バートが扉をノックし、「お待たせしました」と中に声をかける。

 中からのいらえがあって、バートが扉を開く。一歩脇に寄って扉を押さえてくれた彼に促されるままにヴィアナは部屋の中に足を踏み入れた。

(……なんで、こんなところに)

 ヴィアナの頭に真っ先に思い浮かんだのはその言葉だった。

 広い、とにかく広い。おそらくヴィアナの家がすっぽりとおさまってしまうであろう広い空間に、長机と椅子がいくつか並んでいる。

 一番奥にこちら側を向いて置かれている机には、一人の青年が座っていた。黒い上着に白いシャツ――彼の髪も上着同様黒い。

 彼を見ていたら、不意に胸の奥がとくんと音を立てたような気がした。

(あの人……どこかで見たような)

 期待、半分。恐れ、半分。胸がどきどきする。

「……ヴィアナを連れてまいりました」

 ヴィアナの背後から、バートがそう声をかけると青年は顔を上げた。

 ずいぶん向こう側にある机から、ゆらりと立ち上がった彼がこちらに向かって歩いてくる。幼い頃一緒に遊んだ黒髪の少年が、成長したらこんな青年になるだろうか。

(ああ、嘘……でも、そんな気がする)

 ヴィアナの頭の中をぐるぐると回るのは、まさかという思いとやっぱりという思い。
 どうして、と疑問の言葉も頭を過ぎったけれど、今はそれどころじゃない。

「……遅かったな」

 ああ、違う――とヴィアナは目を閉じる。

 彼は、こんなに低い声じゃなかった。それに、こんなに背が高くもなかった。

 ――けれど。

「これでも、大急ぎで来たんですよ。ヴィアナに仕事の説明をするのはあなたからお願いします――殿下」

 この国に、二十歳前後の男性で『殿下』と呼ばれる人は一人しかいない。

 ブライアス王太子――かつての幼なじみと同じ名前。

「王太子……殿下……」
「ブライアスと呼べよ、昔のように」

 屈託のない笑みを彼はこちらに投げかけてくるけれど、ヴィアナは思わず額に手を当てた。

 なんとなく、なんとなーく思わないわけではなかった。バートの雇い主が、ヴィアナの知っているブライアスではないか、と。

 ただ、あのブライアスが王太子だなんてあまりにも思いがけない話だったし、バートがブライアスのもとを離れて転職したと考える方がよっぽど現実味を帯びていたのである。

 ――少なくともヴィアナにとっては。

「……あの」

 かすれた声しか、言葉が出てこない。いったい自分の口はどうなってしまったのだろう。言いたいことが何一つ出てこないなんて。

こちらは2017年2月1日発売【えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!(ジュエル文庫)】の試し読みです。編集部の許可をいただいておりますが、途中までの公開となることをご了承ください。また、最終校正版ではないため、実際の書籍と多少異なるところもございます。

2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
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Date:2017/02/05
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