迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

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□ 侍女の困惑 王子の寵愛 □

侍女の困惑 王子の寵愛 (5)

 
 あれ以来、クリストハルトの様子がますます変化した気がする。ルチアは自分の指先をじっと見つめた。
 
 求婚してくれたあの時、クリストハルトはルチアの指先にキスをした。まだ、指先に甘い痺れが残っているみたいだ。

「失礼ですが、トゥラーティ侯爵のご令嬢ですか?」
「はい、そうですが……」

 一週間後には、クレディナ王国に戻ることになっている。まだ正式に発表されたわけではないけれどエドウィンとヴィオレッタの縁談が無事に成立し、帰国前日に正式発表になることも決められた。

 そんなわけで、帰国前にあちこちの夜会に出かけるヴィオレッタに、ルチアは毎回同行していた。侍女という役目ではあるけれど世話係というよりはヴィオレッタの話し相手が主な役割だ。

 ルチアもヴィオレッタの側に控え、彼女とともにあちこちの貴族達と挨拶を交わしていた。

 そんな中、声をかけてきた男には見覚えがなくて、ルチアは首を傾げる。

「……フェルデン侯爵――ジャスティア王国の」

 目の前にいる男は、じっとルチアを見つめている。ジャスティア王国のフェルデン侯爵といえば、トゥラーティ侯爵家と国境を接している領地の持ち主だ。

 黒い髪、黒い瞳の背の高い男性だ。ルチアと同じ――いや、少し年上だろうか。豪奢な刺繍の施された紺の上着を身に着けて、とても洗練された雰囲気だ。

 少し前から、境界線を巡って争いになっているのをルチアも知っていた。

(……どうして、この方がここにいるのかしら)

 今回の訪問はヴィオレッタの縁談のためであるから、ジャスティア王国は関係ないはずだ。だが、この場でことを荒立てるわけにもいかないから、ルチアは相手の挨拶に笑みで返した。

 ヴィオレッタはどうしたのかと思えば、気を取られている間に、少し離れたところに移動して他の貴族達と談笑している。

 どうやら、ヴィオレッタが離れた隙を狙ってルチアのところに来たらしい。

 こちらの様子に気がついたヴィオレッタは、フェルデン侯爵を見て険しい表情になる。

「――ルチア、こちらにいらっしゃい」

 向こう側から、ヴィオレッタがルチアを手招きした。失礼と言って立ち去ろうとしたルチアを、フェルデン侯爵は引き止める。

「――ルチア殿。後ほど少しお話させることはできませんか」
「……そう言っても」
「ルチア、こちらにいらっしゃいな」

 ヴィオレッタが声を強めて、ルチアを呼ぶ。ルチアは、フェルデン侯爵の方に黙礼して、そのまま今度こそ静かに彼の前を離れた。

「フェルデン侯爵につかまっていたわね。大丈夫だった?」
「ええ……大丈夫です、ヴィオレッタ様」

 ヴィオレッタにうなずき、ちらりとフェルデン侯爵の方に視線を走らせる。ルチアの表情に気がついた彼は、彼女の方ににやりとした笑みを向けるとそのまま彼女に背を向けて去った。

「……いやな感じね」

 ヴィオレッタがため息をつく。

「しかたありません。我が家と侯爵家の関係を考えたら」

 ルチアはため息をついた――。しかし、彼は何のためにここに来たのだろう。

「ヴィオレッタ、ルチア――今日はそろそろ引き上げた方がいい。部屋に戻る前に、話があるからクリストハルトと先に行っててくれ」

 エドウィン王太子がやってきて、二人を広間から退室するよううながした。

「クリストハルト様、いったい何があったというの?」

 クリストハルトに連れられ、舞踏会の開かれていた広間のある棟とは別の棟にある部屋に通されたとたん、ヴィオレッタは口を開いた。

「――フェルデン侯爵が来ているだろう」
「先ほど、お会いしたわ。ルチアに声をかけているところを見たと言った方が正解かしら」
「目的はわかるだろう」

 クリストハルトの言葉に、ルチアはゆっくりとうなずく。彼の領地とルチアの父の領地は堺を接している。そこはまた国境ともなっていて、近頃はなんくせをつけて土地を削り取ろうとしていた。

「父の持つ領地ですね」
「――というより、ルチアだろう」
「縁談……でしょうか。そのような話があったと聞いてはいます」

 もちろん、父は断ったと聞いている。ルチアがフェルデン侯爵家に嫁いだならば、そのまま領地ごと呑み込まれることになってしまう。

 クレディナ王国の法律に従えば、基本的に相続権を持つのは男子のみだ。女子に相続をさせたい場合には、国王に申し出て許可を得る必要がある。

 両親は仲睦まじかったけれど、ルチア以外に子供は生まれなかった。

 母は男児を埋めなかったことを申し訳なく思っていたようであるけれど、父はルチアを後継者に決め、きちんと正式の手続きを取ってくれた。

 不幸にも父の親族は若いうちに亡くなってしまった人が多く、一番近い親族は、父の従兄弟の息子ということらしい。

 父の従兄弟は、ジャスティア王国の貴族に婿入りしているが、彼が申し立てをすれば父の領地を相続することは可能だ――その時にルチアがいなければ。ここまで遠い関係であれば、クレディナ王国側もなんらかの手をうつのが当然だ。

 クレディナ王国側が手を打つ前になんとかすべくルチアとの縁談を望んでいるのだろう――フェルデン侯爵家はトゥラーティ侯爵家と領地を接している分、管理もしやすい。

「そうだ。だから、こちらの国に来ている間にルチアとの縁談を成立させてしまおうというのだろう」
「……でも」
「ルチアは、クリストハルト様に嫁ぐのでしょう?」

 にっこりとして、ヴィオレッタが言う。ルチアは耳まで赤くなった。

「いいのよ、その話は聞いているもの……それで、これからどうしたら」
「ルチアのお父上に縁談を申し込む。ヴィオレッタより先に結婚してもかまわないだろう?」

 クリストハルトとの縁談が成立したら、一国の王子妃となる。うかつに手を出すことはできなくなるはずだ。

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Date:2017/02/04
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