迷宮金魚

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(5)      えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(7) 
既刊一覧

電子書籍



*    *    *

Information

□ えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ! 試し読み □

えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(6)

 
「ああ、疲れてるみたいだな。ここまで長旅だっただろう――バート、隣の部屋に飲み物と……何か甘い菓子を。そうだ、ヴィアナはアップルパイが好きだっただろう。チョコレートクッキーも好きだったな」
「かしこまりました」

 ゆっくりと一礼して、バートが立ち去る。部屋の中に王太子と二人取り残されて、ヴィアナは困惑した。

 いや、困惑したと言うより――全力で逃げ出したくなった。

 場違いだ。自分がこんなところにいるのは場違いだ――。

「あ、あのっ……間違えちゃったみたいなので……失礼……しますねっ」

 あわあわとしながら、扉から逃げだそうとしたけれど、その目論見は簡単に阻まれてしまった。

「逃げる必要なんてないだろう。俺と久々の再会が嬉しくないのか?」
「う、嬉しいとか……嬉しくない、とか……これ、そもそも私の……ひゃあっ」

 手を掴まれたかと思ったら、次の瞬間にはブライアスの腕の中に抱え込まれている。

 なんて素早いんだろう――なんて感心している場合ではなく、ヴィアナの頭は真っ白になった。

 身体中の血が一気に頭に集まってきたみたいで、頭がぐらぐらしている。呼吸さえもままならなくなって、自分が抱きしめられているという事実に完全に硬直した。

「――ヴィアナ」

 耳元でヴィアナの名前を呼ぶ声は低く、甘い。

 こんなの反則だ――考えられない頭の後ろの方で、ヴィアナは必死に考える。

 だって、彼とはもう十年も会っていなかった。王太子だなんて知らなかった。

 「お城に働きに来い」とスカウトが来たから働きにきたのに、こんな風にぎゅっと抱きしめるだなんて――反則も反則、大反則だ。

(……でも)

 鼻をかすめた甘い香りに、ヴィアナの身体から力が抜けた。

 何も考えないでいられた子供の頃、彼はいつもヴィアナの家に昼寝をしに来ていた。彼のそんな昼寝に付き合っていた時、何かの拍子に香っていたのと同じ柑橘系の香り。

(……子供の頃に、戻ったみたい)

 ある日突然、ブライアスはいなくなってしまった。

 お別れの挨拶もすることもできなくて、当時はわんわん泣いた。連絡さえくれなかったのに、あれから十年たって、こんな風に呼び出しをかけてくるなんて。

(……ずるい)

 ためらいがちに伸びた手が、彼の黒い上着に触れる。とたん、上質のシルクの感触がヴィアナを現実に引き戻した。

 会いたかった――会いたいと思っていた。きっと、あれがヴィアナの初恋だった。

 ――だけど。

「あの、離してください……」

 ブライアスを押しのけようとしながら、ヴィアナは小声で言った。

 ヴィアナはただの地方領主の娘。ブライアスは王太子。

 どういう事情かわからないけれど、ヴィアナの隣の家に身分を隠して住んでいた頃と今では全然違う。

 本当なら、顔を合わせて話をすることさえ難しいくらい雲の上の人なのだから。

「……何を考えている?」
「別に、何も。ただ……その、恐れ多くて」

 適切な言葉を見つけ出すことができない。ヴィアナの瞳がゆらゆらと揺れる。

「何が恐れ多い。俺と、お前の仲なのに」

 けれど、ブライアスはそれを許さなかった。それどころか、ヴィアナを抱きしめる腕にますます力をこめてくる。

 これ以上はできないくらい密着させられて、どうしようもないくらいに胸が痛くなる。

(……どうして)

 彼がヴィアナの思っていたみたいな、普通の青年だったらよかった。そうしたら、抱きしめられたところで、きっとこんな胸が痛くなることもなかった。

 ――それでも。

 彼の体温に安堵させられてしまって、突き放すこともできなくなった。

「何をやっているんですか、殿下――ブライアス様」
「いてぇ!」

 不意にごいんと音がしたかと思ったら、ヴィアナを抱え込んでいた拘束が緩む。

 すかさず一歩後退して、ブライアスの腕から逃れる。改めて視線を巡らせると、そこには後頭部を押さえたブライアスと、あきれた様子で首を振るバートがいた。

 バートの手にあるのは、銀のトレイだ。

(い、いつの間に――!)

 どうやら、バートが銀のトレイでブライアスを叩いたらしい。

 叩いたらしいというのはわかるけれど、彼はいつの間にこの部屋に戻ってきたんだろう。少なくとも、扉を開け閉めする音は聞こえなかった。

(……ということは、抱きしめられているのを見られたの?)

 顔がかっと熱くなって、この場から逃走したい気分になる。そんなヴィアナの目の前で、振り返ったブライアスは不機嫌な声を上げた。

「お前、いきなり殴るやつがあるか!」
「ヴィアナが固まっているからでしょう。手を出すなら順序を追ってください」

(手、手を出す……! え、待って、順序って)

 今度は違う意味で頭が真っ白になった。いったい、バートは何を言っているのだろう。今度はブライアスが慌てる番だった。

「手、手を出すって人聞きが悪いな! 俺はいつだって真剣――」
「そこまでです――『殿下』。隣の部屋に、お茶の用意が調いました」

 バートはやけに『殿下』という言葉を強調した。

こちらは2017年2月1日発売【えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!(ジュエル文庫)】の試し読みです。編集部の許可をいただいておりますが、途中までの公開となることをご了承ください。また、最終校正版ではないため、実際の書籍と多少異なるところもございます。

2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(5)      えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(7) 
既刊一覧

電子書籍



*    *    *

Information

Date:2017/02/06
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://goldfishlabyrinth.blog.fc2.com/tb.php/214-ab61517a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。