迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    侍女の困惑 王子の寵愛 (7)      侍女の困惑 王子の寵愛 (9) 
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□ 侍女の困惑 王子の寵愛 □

侍女の困惑 王子の寵愛 (8)

 
 襲撃の後始末を終え、一番近い街まで移動して改めてその町の長の家に落ち着いた時には、日は完全に沈んでいた。

 クリストハルトは事前に完全に手配していたらしく、長の妻と娘がヴィオレッタとルチアに手を貸してくれる。彼女達の手を借り、汚れた身体を洗って衣服を改めた時には、二人とも落ち着きを取り戻していた。

「あなたも大変だったわね」
「いえ、私は……たいしたことはしていませんから。さあ、ヴィオレッタ様、鏡の前におかけになってください。御髪が乱れていますから」

 自分の髪は簡単に結っただけだけれど、ヴィオレッタにはきちんとしてもらわなければ。頭の両側に後頭部へ向けて何本もの編み込みを作っていく。首の後ろで一つにまとめて結った。

 ルチアがそうしている間にも、ヴィオレッタはここにいたるまでのルチアの行為を誉めてくれる。

「一番大変だったのは、あなたでしょう。だって、あの時――短剣を持つ手が震えていたもの。そこから後も、怪我人の手当をするのは大変だったでしょうに」
「ヴィオレッタ様をお守りしなければと、そう思っただけです。怪我人の手当は、ヴィオレッタ様のご意志に従っただけですから」

 ヴィオレッタを守らなければいけないと思ったのはルチアの意思だけれど、それ以外のところはルチアの意思で動いたわけではないと思う。

 きっと、ヴィオレッタが指示してくれなかったら動くことさえできなかった。

 髪と化粧を確認したヴィオレッタは、椅子から立ち上がるとルチアの方を振り返る。

「あなたももう行ける?」
「どこにですか?」
「やあね、クリストハルト様のところに決まっているでしょう」

 その名前がヴィオレッタの口から出るだけでどきどきする。ルチアが耳まで赤くなるのを、面白そうに見ていたヴィオレッタは、ルチアの背中を押した。

「トゥラーティ侯爵領の件については、私も以前からクリストハルト様に相談していたのよ。父も、侯爵も手を打つのはわかっていたけれど」
「殿下に相談……ですか」
「ええ。だから、ルチアを一人にしないように気を配ってくださったでしょう?」
「はい。何かと気にかけていただきました」

 それでようやく理解できたような気がした。クリストハルトがルチアに興味を持つ理由なんて、わからなかったのに。どうやら、ヴィオレッタのお声掛かりだったらしい。

 けれど、くすくすと笑いながら、ヴィオレッタは先を続ける。

「最初は名前を言ってもわからなかったのに、ストールのことを言ったらすぐに思い出したのよ。あれからルチアが気になってしかたなかったみたいね」

 まさか、あの程度のことで? 目を瞬かせるルチアにはかまわず、ヴィオレッタは先に立って部屋を出てしまう。慌ててルチアは、彼女の後を追いかけた。

「ああ、クリストハルト様には内緒よ? だって、何もおっしゃらないんだもの。でも、あなたの気を引こうと一生懸命になっているのは、端から見ていたら面白かったわ」

 悪びれた様子も見せず、くすくすと笑いながらヴィオレッタは続ける。ルチアの顔がますます赤くなっていくのも彼女を面白がらせているみたいだ。

「ええ。だって、私には全然興味を示さなかったのに、ルチアの一挙一動を見逃すまいって――アントリム王国の貴族の男性が話しかける度に割ってはいるんだもの」

 その件については全然気がついていなかった。

(……私は、本当に何も気がついていなかったのだわ)

 ヴィオレッタの後を追いながら、ルチアは小さく息をついた。クリストハルトがどれだけ以前から自分を見てくれていたのか、本当に気がついていなかった。

 クリストハルトが待っていたのは、おそらくこの家の者達が団らんに使っているであろう部屋だった。

 縛り上げられたフェルデン侯爵が椅子に座らされている。彼の身体には傷一つなかったけれど、意気消沈しているようにルチアの目には見えた。

「ジャスティア王国の特使である私を捕らえるとは、アントリム王国のやり口はひどいものだな」
「山の中に伏兵を潜ませておいて、ヴィオレッタとルチアを連れ去ろうとしておいてよく言えたものだな」

 壁に半分もたれるようにして立っていたクリストハルトは、呆れたように首を横に振った。

「あら……まあ。ジャスティア王国に連れ去って、どうするつもりだったのかしら」
「それはあれだろ。兄上とヴィオレッタの婚姻が成立しないようにしてしまえばいい」
「――それは困るわ」

 むぅっと口角を下げたヴィオレッタは、身を屈めてフェルデン侯爵をのぞき込んだ。だが、彼がそれ以上は何も言わないのを見てとると、ぷいと顔をそむけて身を起こす。

 結局のところ、ルチアの知らないところでいろいろな思惑が渦巻いていたらしい。自分が何も聞かされていなかったことを思うと悔しいような気もするけれど。

「あなたは、ルチアが無事ならそれでよいのでしょう。エドウィン様は、どうしたのかしら」
「兄上は、国境を越えて入ってきたジャスティア王国の兵士達を追い払った後始末をしている。終わったら、兄上が国許まで送り届けるそうだ」
「それならいいわ。後始末も大事ですものね」

 一気にヴィオレッタの機嫌もよくなる。

 ちらりと横にいるクリストハルトの方に、ルチアは視線を向けた。彼がこちらを正面から見つめている。怯むことなく、まっすぐクリストハルトを見つめ、彼の視線を受け止める。

「……ばかばかしい」

 フェルデン侯爵が、横を向いて吐き捨てるように言った。

「俺もばかばかしいと思うぞ。功を焦ったのだろう――フェルデン侯爵。ここは一度ひいて、ヴィオレッタかルチアか、改めて狙いを定めればよかったのに。さて、ジャスティア国王は、どう対応するんだろうな」

 ルチアの肩にクリストハルトの手が回される。側に引き寄せられたら、ルチアは他に何も言えなくなった。

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Date:2017/02/07
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