迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(12)      えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(14) 
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□ えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ! 試し読み □

えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(13)

 
 こうして、ヴィアナの新しい生活は多少の波乱を含みながらも始まった。

 王城での勤めが始まって二週間。ブライアスとの間にあるぎこちなさも少しずつとれてきた。

 仕事そのものはさほど難しいことはなく、家庭教師との勉強は一週間が過ぎたところで始められた。

 仕事には問題はない。仕事はいいのだが――一番の問題はブライアスだった。

「……ブライアス様、横にならないんですか……」

 眠れなくてヴィアナを呼びつけたのだからちゃんと横になって朗読を聞いていればよさそうなのに、ベッドに枕を抱えて座っているのだから、眠る気皆無だとしか思えない。

「私の仕事は、ブライアス様の寝かし付けだと思ってたんですけど……?」
「今日はこうやって聞きたい気分なんだ。眠気がきたら、横になる」

 用心深くブライアスとの距離をあけてしまっても、しかたのないところだと思う。
 だって、ブライアスは全然信用できないのだ――というのも、ひどい言いぐさだとは思うけれど、隙あらばくっつこうとしてくるのだからしかたない。

 指を搦めて手を握ったり、頬にキスしてきたり。その度に心臓が跳ね上がる。

「……ヴィアナ、始めてくれ」
「これは、ものすごく眠くなりそうですね」

 毎回ブライアスの指定する読み物は違うけれど、今日はなんと全国各地の農作物の収穫量についての記録だ。数字の羅列を読み上げていると、ヴィアナの方が眠くなってきてしまう。

「次、エルンディア地方、小麦が……三百ダリルが平均、二百を割り込んだ時は王城から……支援……」

 こくり、とヴィアナの首が揺れた。いけない、と慌てて体勢を立て直す。

「申し訳ありません、もう一度エルンディア地方から読み直しますね」

 ブライアスを寝かしつけに来ているのに、自分が寝かしつけられているのでは意味がない。

「前もあったな」
「何が、ですか」

 気を取り直して、もう一度報告書を取り上げたヴィアナは、目の前にブライアスがいるのに気が付いて激しく動揺した。

「昼寝をさせるんだーってちっちゃい子達を並べてさ、建国物語を読んでいるのに、お前のが先にうとうとし始めて」
「それは、子供の頃の話でしょう」
「今も寝かけてた」
「そ、それは」

 それを言われてしまうと分が悪いから、むぅっとヴィアナの口角が下がる。

(……昔みたいにしろって言われても無理よ)

 何も知らない頃なら普通にできた行為だって、今やったら不敬罪に問われたって文句は言えない。

 昔は、ブライアスの頭をひっぱたいて寝かせていたけれど、今そんなことをしたら――考えるだけで恐ろしくなる。

「……お前は、変わったな」
「大人になりました」

 ヴィアナはぷいと顔をそむけた。

 悔しいことに、ブライアスの方はあまり変わったようには思えないのだ。

 昔のような気安さでヴィアナに接しようとしてくる。それが、どれだけヴィアナをどきどきさせるのかを考えていないみたいに。

「誰が大人だ?」
「……大人です! 縁談だって、出るくらいなんだから」

 たしかに縁談は何度も出てきたけれど、その度になぜか壊れてしまっていた。

 その理由を考えることさえ、ここに来てからは放置していたけれど――きっと、ヴィアナに魅力が足りないのがいけないのだろう。

 小さな領地しか持っていない領主の娘。持参金があるとか美しいとかあれば別だけれど、どちらも持ち合わせてはいない。

 こうなったら、王宮で一生懸命働いて、使用人の最上位にまで上り詰めてやる――なんていうのは、ちょっと張り切りすぎだろうか。

「では、違う本にしましょうか。私が寝ないですむように」

 ちくりと胸を過ぎった痛みからは目をそらすようにして、ヴィアナは微笑みかける。

(ここには仕事をするために来ているんだから……)

 けれど、ヴィアナのそんな気持ちにはかまうことなく、ブライアスは手を伸ばしてきた。そして、本をサイドテーブルの上に置こうとしたヴィアナの腕を捕らえる。

「……眠れなくなりますよ」

 ブライアスが、そうやって手を伸ばしてくるのにももう慣れたけれど……そうされる度にあの頃とは違うのだと思わされてしまって胸が痛い。

「あのっ……ブライアス様……」

 腕を捕らえただけではなく、枕を放り出したブライアスはヴィアナの方へと上半身を傾ける。

 ぐっと腕を引かれたら、彼の方へと倒れ込んでいた。懐かしい香りが鼻をかすめて、胸がずきりとする。

「縁談が……あるのか?」

 低い声で問いかけられて、ヴィアナはおののいた。その底に怒りがこもっているように思えて。

「ある、と言うか……あった、と言うか」

 自分でも認めたくなかった。もう会えないと書かれた手紙を受け取った時の惨めな気分を思い出して、唇が震える。

「でも、もういいんです。私はずっとお城で働きますから」
「……ヴィアナ」

 手を掴む手に力が加わる。

(……なんだか、まずい……雰囲気……?)

 頭の隅でそう警鐘が鳴ったけれど、その警鐘はあまりにも遅かった。

 顎に手がかかって、彼の方へと顔を上向けられる。ぱちぱちと二度瞬きをしたけれど――次の瞬間、ヴィアナはぎゅっと目を閉じた。

 彼の唇が、ヴィアナの唇を覆っている。これは……キス、だ。それも生まれて初めての。

「……んっ」

 思わず漏らした吐息は、自分自身が驚いたほどに甘かった。

 彼の唇が触れている感覚が気持ちよくて、そのまま、彼の胸に身体を預けてしまう――けれど、次の瞬間、ヴィアナは思いきり彼を突き飛ばしていた。

「な、何を……!」

 今、キスされたばかりの唇を、思いきり手で拭う。

(こんなはずじゃなかった……)

 目にじわりと涙が浮かんで、ブライアスをにらみつけていた。

「ひどい! 私、初めてだったのに――!」

 床の上に転がるようにして下りて、そのままばたばたとドアの方に向かう。

「ヴィアナ!」

 ブライアスが呼び止めるのも、聞こえなかったふりをした。

(……初めて、だったのに)

 扉を閉めて気が緩んだのか、次から次へと涙が溢れてくる。

 きっと、彼にとってはほんの戯れ。

 幼かった頃のひとときを一緒に過ごした相手が目の前にいたから。手の届くところに座っていたから。それだけだとわかっているのに。

こちらは2017年2月1日発売【えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!(ジュエル文庫)】の試し読みです。編集部の許可をいただいておりますが、途中までの公開となることをご了承ください。また、最終校正版ではないため、実際の書籍と多少異なるところもございます。

2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
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    えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(12)      えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ!試し読み(14) 
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Date:2017/02/13
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