迷宮金魚

□ インテリ公爵さま、新婚いきなりオオカミ化ですかっ! わたし、押しかけ花嫁でしたよね?  試し読み □

プロローグ

 

「……レミアス様、だめ、私、もうっ――!」

 ベッドに押し付けられたシアラは、喘ぎながら懇願した。

 目覚めた時は、まだ夜明け前で外も暗かった。お茶が飲みたくなったけれど、使用人を呼ぶのは気の毒だから、自分で厨房まで行ってお茶をいれることにした。

 隣で眠っているレミアスを起こさないよう、そっとベッドを抜け出すつもりだったのに、気がついたら、彼の腕の中に抱え込まれ、抱きしめられ、キスの雨を降らされていた。

 おまけに、たくさん喘がされている間に手際よく寝間着を脱がされてしまって現在に至る。今みたいに、いつだってシアラは簡単に彼に翻弄されてしまう。

「もう……? あなたの中は、まだ物足りないと私に絡みついてきますよ」

 シアラをベッドに押し付け、揺さぶっているレミアスの方は余裕の表情のまま。納得いかない。なんで、彼だけ余裕なんだろう。

 いつもは眼鏡をかけているけれど、寝起きなので当然眼鏡はかけていない。いつもと違うレミアスの顔を見上げるだけで、ドキドキする――なんて、悔しいから言ってやらないのだ。

「た、足りるとか、足りないとか……そういう、問題……では……ひぁんっ!」

 口ごたえしようとしたら、ひときわ強く突き上げられた。

 意地悪だ、レミアスは意地悪だ。ぐずぐずになった頭の片隅から、そんな声が聞こえてくる。意地悪だけどしかたない。だって好きになってしまったシアラの負け。

「一緒……お願い、一緒……に――!」

 奥を穿たれ揺さぶられ続けた快感で、すっかり重くなってしまった腕を持ち上げ、彼の首に絡めてそうねだる。

「もう、ですか? ……しかたありませんね。今日、あなたが動けなくなってしまっては困りますし」

「――あぁんっ!」

 レミアスは、シアラの身体を強く自分の方へと引き寄せた。彼の動きが力強さを増し、濡れた壁を擦り上げられる度に、シアラの瞼の裏で星が散る。

 つま先を強く丸めてシアラが絶頂に達した直後――熱い飛沫が体内に注ぎ込まれる。精を放ったあとも彼は名残惜しそうにシアラを抱きしめていたけれど、ゆっくりと身体を離して立ち上がった。

「……レミアス様は、たまにとっても意地が悪くなりますね……今日、大切な日……なのに……」

 シアラが大切な日だと言ったのは、今日が『薔薇の大祭《ローゼ・フェスト》』が行われる日だからだ。十年以上前、レミアスとシアラが初めて会ったのも『薔薇の大祭』の最中だった。

 それをきっかけに、シアラはレミアスに想いを寄せて――そして、今、彼の妻となってここにいる。だから、今日はちゃんと出席したかったのに、朝からこんなに体力を消耗してしまっては、今日一日耐えられるかどうか。

「もう少し、眠る時間がありますよ。起きたら、一緒に朝食を取りましょう。薔薇の女王《ローゼ・ケーニギン》より、あなたの方が美しいことはわかっていますけれど」

 レミアスに身体を清められ、新しく取り出した寝間着に着替えさせられたシアラは、彼の腕の中に抱え込まれた。寄り添った彼は温かくて、すぐに眠気がやってくる。

 シアラの左手の中指には、銀の指輪がはめられている。本物の銀ではあるが、城主夫人が身に着けるものとしては少々質素なのはいなめない。

 その隣の薬指には、黄金にエメラルドをはめ込んだ立派な指輪が結婚指輪としてはめ込まれているからよけいにそう見えるのだろう。

(でも、レミアス様から最初にいただいたのは、この指輪だもの)

 左手を口元に持って行って、そっと指輪にキスをする。レミアスの手が伸びてきて、その手を取ったかと思ったら、指を絡めて繋がれた。

 

 ◇ ◇ ◇

 


2019年1月25日発売
追放聖女はシンデレラ 俺様魔王に溺愛されて幸せです(ジュエルブックス)
電子書籍 2018年6月1日配信開始 
皇帝陛下は花嫁狩り ~いきなり私が皇妃様!?~(LUNA文庫)

    インテリ公爵さま、新婚いきなりオオカミ化ですかっ! わたし、押しかけ花嫁でしたよね?       プロローグ2 
既刊一覧

電子書籍



*    *    *

Information

Date:2018/09/10
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://goldfishlabyrinth.blog.fc2.com/tb.php/240-7a0d932c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)