迷宮金魚

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2018年3月1日発売
若奥様は愛されすぎて困惑中! 旦那様は超☆絶倫!(ジュエル文庫)
電子書籍 2018年6月1日配信開始 
皇帝陛下は花嫁狩り ~いきなり私が皇妃様!?~(LUNA文庫)

    第一章 彼の心を掴むのです!(4)      第一章 彼の心を掴むのです!(6)  
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□ インテリ公爵さま、新婚いきなりオオカミ化ですかっ! わたし、押しかけ花嫁でしたよね?  試し読み □

第一章 彼の心を掴むのです!(5)

 
「……クルト、いい加減にしてください。初対面の人をからかうのはよくないですよ」

 ふっとシアラの意識を現実に引き戻したのは、レミアスの言葉だった。彼の方へとぎくしゃくと振り返り、シアラはまた目を瞬かせる。

(……どうしよう)

 真っ先に頭に思い浮かんだのは、その言葉だった。

 扉を入った時には、床を見つめていたから目に入らなかった。扉を開いて正面にあるのは、大きな窓。

 その窓の前にあるのはマホガニー製の立派な机。おそらく、前公爵の代から用いられてきたのだろう。年月を経た家具特有のどっしりとした時代を感じさせる雰囲気だ。

 その机の向こう側からこちらを見つめているのが、ポラルーン公爵であるレミアス・バジーリウスだった。

 齢二十にして、国境の重要な地を任されている彼は、実年齢よりははるかに落ち着いた雰囲気だった。

 まっすぐな黒い髪は長めに整えられている。眼鏡をかけた怜悧そうな目元に形のよい鼻。

 少し薄めの唇は、口角が少し上がっていて冷たく見えそうな彼の容姿にほんのりとした温かさを添えていた。彼の周囲だけ光り輝いているみたいに見えて、シアラは目を見開いたままその場に固まってしまった。

「部下が失礼をしました。シアラ・リーフェンシュタール嬢、でしたね。わが城にようこそ」

 微笑んだ彼が、椅子を押しやり、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

 この場から逃げ出したくなって、それでも彼の顔を見ていたくて。

(ああ、嘘、どうしよう……!)

 背は高い――天井に届きそうなクルトよりは低いが、それでも男性の平均身長よりは高い。身のこなしには隙がなく、少し細身の体格だが歩く姿勢は背筋がまっすぐでとても綺麗だ。

 茶の上質な布地で仕立てられた上着の袖口には、金糸で刺繍が施されている。

 耳の奥の方で、自分の心臓の音がやかましく鳴り響いているのをシアラは自覚した。瞬きさえ忘れ、じっと彼を見つめてしまう。

 一歩一歩、こちらに進んできた彼がシアラの前で立ち止まった。自分より背の高い彼を見上げる形になって、せわしない呼吸を繰り返す。きちんと挨拶をしなければ。これから三か月の間に彼の心を射止めねばならないのだから、最初の印象はよくしておかなければ。

 ――それなのに。

「シアラ嬢?」

 レミアスが軽く首をかしげてシアラの名を呼んだ。

 だめだ。言葉が出てこない。再会に胸がいっぱいで――どうしたらいいのか、わからなくなる。

「この城で、どれだけのことが学べるかはわかりませんが、どうぞ滞在中、ゆっくりと過ごしてくださいね」

 耳を打つレミアスの声。彼の声に、夢を見ているような気分に陥った。

 まるで、この世界にはシアラとレミアスしかいないようなそんな気さえしてくる。

 何か、何か口にしなくては。この顔合わせが終わったら、もうこんなに間近で話す機会はないだろう。

 あまりにも頭の中が真っ白で、何度も繰り返し考えてきたはずの挨拶の言葉も完全に消し飛んでいた。

「あ、あの……レミアス様……わ、私を、お嫁さんにしてくださいっ!」

 かわりに出てきたのはとんでもない言葉。

 しんと静まり返る室内。

 自分の発言に気がついたシアラの顔から、一気に血の気が引いた。なんてことを口走ったのだろう。

「あ、あの……今のは、今の発言は……忘れてくださいぃぃぃ!」

 悲鳴じみた声で叫ぶなり、シアラは身をひるがえす。

(やだやだ……私ってば、何を――!)

 まだ城に到着したばかり。どこに何があるのかもさっぱり把握していない。自分がどこに向かっているのかもわからないまま、先ほどエグモントに連れられて通った長い廊下を走り抜け、玄関ホールから庭へと飛び出した。


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Date:2018/09/16
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