迷宮金魚

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2019年1月25日発売
追放聖女はシンデレラ 俺様魔王に溺愛されて幸せです(ジュエルブックス)
電子書籍 2018年6月1日配信開始 
皇帝陛下は花嫁狩り ~いきなり私が皇妃様!?~(LUNA文庫)

    第一章 身代り花嫁は後宮へ(2)      第一章 身代り花嫁は後宮へ(4) 
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□ いきなり後宮プリンセス!?溺甘殿下は蜜月計画中! □

第一章 身代り花嫁は後宮へ(3)

 
「玉英の縁談についてはお前も知っているだろう」

「皇太子殿下に嫁ぐのでしょう? 大変名誉なことだと――私も、婚礼の衣装をお手伝いしております」

 正妻の娘である玉英は、平凡な顔立ちの梅英と違い、美女の誉れが高い。

 父の弟子達がこの屋敷に来て武芸の稽古を行うことも多いが、その中の何人が異母姉目当てなのかわからないほどだ。

 その異母姉を皇太子が見染め、皇太子妃として入宮させるように――との命令があったのは、昨年の秋のこと。

 皇太子である慧《けい》暁賢《ぎょうけん》は、穏やかな貴公子として知られている。父の弟子でもあるので、梅英も顔を見たことはあった。

 たしか、年が明けてすぐ二十二歳になったところだが、女性関係で浮いた噂は一つもない。

 冬が過ぎ、春の陽気のよい時期になってから嫁ぐようにと配慮がされ、冬の間は胡家は入宮の準備に追われていた。

 婚儀が終わるまでは顔を合わせないというしきたりから、暁賢が玉英に会うためにこの屋敷を訪れることはなかったが、皇族に嫁ぐという名誉に家中の者が大興奮し、祝福していた。

 花嫁衣装の豪奢な刺繍は、専門の職人が一冬の間屋敷に滞在して施したが、初夜にまとう寝衣、後宮に入ってから身に着ける襦裙や下着類は、胡家の女達がせっせと手を動かして縫ったのである。針仕事の得意な梅英も、玉英のために精いっぱいの手伝いをした。

 玉英にはたいそう可愛がってもらったから、梅英も手を貸すのは嫌ではなかったし、自分が力を貸すことができるのが嬉しかった。

(お異母姉様が、不安に思っていたのは知ってるけれど……)

 後宮に入るようにとの沙汰があって以来、玉英が沈みがちであったのは梅英も気づいていた。

 話を聞こうとしても、首を横に振って何も話してくれない。

 母が長い間病みついていること、父の部下達が訓練中に怪我を負った時に応急手当くらいはしてあげたいと思ったことから、梅英には医学の心得がある。

 その特技を生かして少しでも睡眠が取れるようにと、気を落ち着ける薬草茶を用意したり、寝る時に寝室で焚く香を調合したりと、その不安を取り除くためにできる限りのことはしたつもりだ。

 ひょっとして、玉英の具合が悪くて呼ばれたのだろうか。

「玉英がどこに行ったのか、お前は聞いていないか」

「はい? お異母姉様が? お出かけではなく?」

「そうではない」

 文机に叩きつけようとするかのように拳を振り上げた父は、けれど、その手を宙で止めた。その振り上げる動作だけで、梅英の身体が硬直する。

 父に殴られたことは一度もないが、大声を上げられたことは何度もある。

 軍人だからこんなものだろうと正妻も母も言っていたけれど、それでも怯えないというわけにはいかないのだ。

「あいつ、駆け落ちしたのだ」

「は……? か、か……け……落ち……ですか?」

 父が口にした言葉の意味を理解するまで、かなりの時間がかかってしまった。

 駆け落ち、とは仲を許されない男女が手に手を取り合いすべてを捨てて行方をくらませることではなかっただろうか。

 まさか、玉英がそんな強硬手段に出るとは思ってもいなかった。いや、それ以上に問題なのは。

「皇太子殿下のお怒りを買うことに……!」

 もともとこの縁談は、暁賢からの申し入れだ。

 だが、皇太子である暁賢との縁談を嫌って逃げ出したということは、その後胡家にどんなお咎めが来ても文句は言えない。

「皇帝陛下の胡家に対する特別のご厚誼を計算すれば、たいしたお咎めはないと思ったのかもしれないが、愚かなことだ」

「そ、それにしても!」

 玉英をたぶらかし、駆け落ちさせたのはどこの誰なのだろう。梅英が、それを問いただそうとした時だった。


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Date:2019/03/10
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