迷宮金魚

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2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    お忍び陛下の甘い夜 ~お忍び陛下の専属侍女番外編~      お忍び陛下の甘い夜 2 
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□ お忍び陛下の専属侍女番外編 □

お忍び陛下の甘い夜 1

 
 足早に廊下を歩きながらリーゼはため息をついた。
 皇帝の婚約者という立場が、こんなに大変なものだとは思っていなかった。いや、大変であろうことは十分わかっていたのだけれど、予想を遙かに超えていた。

 ギルベルトとの婚約が成立した瞬間始まった皇妃教育は、国内外の君主に関連する知識を頭にたたき込むことから始まった。下級貴族の出身であるリーゼにとっては生涯関わることのない人達であるから、王家に関する知識なんて必要なかったと言ってもいい。
 近隣諸国とは婚姻による関係の強化を繰り返していることもあり、各国の王室ほとんどに血のつながりがある。それは国内の貴族達も同じことで、降嫁したり、臣下に下ったりした人達も含めればかなりの数だ。

 それから国内外の歴史に土地に関する知識、皇妃としてふさわしいマナーに教養――あと三年の内に最低二つの外国語を身につけなければならない。
 ――それを嫌だ、と言っているわけではないのだけれど。
 もう一つ、リーゼの口からため息がこぼれた。

 今の生活は、恵まれているけれど窮屈だ。
 今だって、リーゼの後ろには五人の侍女が従っている。少し前までは、侍女用のお仕着せに身を包んで、自由に城内を歩き回っていたのに。
 こんな風に多くの人に囲まれて過ごすのには慣れていない。以前の身軽さが恋しくなることもあった。

「あなた達ももう休んでいいわ。明日は休日だから、少しのんびりできるのよね? それなら私が呼ぶまで起こしにこなくてかまわない……ゆっくり寝かせてもらえるかしら」
 寝支度を終え、侍女達に明日の予定を確認してから、リーゼは寝室に入る。広い寝室に入るなり、ベッドに身を投げ出した。
 
 ――一人で過ごすのは寂しい。
 ギルベルトとリーゼの関係は、宮中皆察しているところではあるのだが、結婚式が終わるまでは慎むようにと言われている。お腹の大きな状態で結婚式を行うわけにいかないから、その点に不満はない。

 問題なのは。
 ギルベルトと会う時間がほとんどないということだ。リーゼが皇妃教育で忙しいのと同様、彼も政務で忙しい。
 一緒に夕食をとることができるのはせいぜい週に一度。お忍びでの視察に同行させてもらったのは、二週間前が最後だっただろうか。

 侍女だった時の方が、共に過ごす時間は長かった。昼の間はハロルドについて動き回っていたけれど、日に何度も彼の執務室を訪れて。夜は夜で――そこまで考えて、リーゼは首を横に振る。

 式の日までに何度顔を合わせることができるのだろう。
 それはわがままであるし、わがままを言ってもしかたないのはわかっているから、リーゼもギルベルトに会いたいとは口にしない。

「……早めに寝ようっと」
 誰も室内にいないのに、そう口から出てきてしまうのは不安な気持ちを殺すため。
 ギルベルトやアドルフィーネが、ハロルドやリーゼといった使用人達に気楽に接してくれていたから気がついていなかったのだが、「皇妃」ともなればそれなりの立ち居振る舞いが求められる。

 ぞろぞろと連れ歩いている侍女達の前では、気を抜くことは許されない。リーゼが何か一つ失敗すれば、それはリーゼを選んでくれたギルベルトを攻撃する理由となりかねない。
 常に気を張って、本心は見せずに笑顔を顔に張りつけて――その陰で誰が滴で誰が味方となりうるのかを常に探っている。

 一度立ち上がって部屋の明かりを落とし、上掛けにくるまって、自分を抱きしめるようにする。そうやってももちろん彼に抱きしめられている感覚を再現することはできるはずもない。

 込み上げてくる感情にリーゼが唇を震わせた時だった。かたん、と音がしたような気がして、リーゼは暗い中で起こす。
 ――今、何か聞こえた様な……気のせい?
 城の最奥部、皇妃のための宮まで入ってこられる者がそうそういるはずもない。気のせいだ、と言い聞かせるけれど、胸がざわつくのはなぜなのだろう。

「誰……? 誰か、いるの?」
 呼びかけてみても、返事があるはずもない。
 ――気のせいなら、いいけれど……。
 明かりを落としていては、何も見えない。リーゼはそろそろと手を伸ばして明かりをつけようとし――そこに誰かが立っているのに気がついた。

 悲鳴を上げかけた口が手で覆われ、素早く塞がれる。
「俺だ、俺。――静かに」
 その声に、リーゼは悲鳴を呑みこんだ。手際よく明かりをつけたギルベルトは、悪びれない笑顔で、リーゼを抱きしめる。
「会いたかっただろ?」
 会いたかった。たしかに彼に会いたかったけれど、今この場に彼がいる理由がわからない。彼がどこからどこから入ってきたのかも。

「ギルベルト様、どうしてここに? ……というか、どこから入っていらしたのですか」
 ここは寝室で、隣室に続く扉と廊下に続く扉があるが、どちらも開かれなかったと思う。ギルベルトに抱かれたまま彼の顔を見上げれば、額にキスが落とされる。
「ここは、皇妃の部屋だぞ? 皇帝の部屋から直接通じる道があるに決まっているだろうが」
 聞けば、ギルベルトの私室からこの部屋まで通じる隠し通路があるのだそうだ。何度も繰り返された増改築のどさくさまぎれに作られたらしい。
 さすが迷宮城と呼ばれるだけのことはある、とリーゼは変なところで感心した。
2017年2月1日発売
えっちな王太子殿下に昼も夜も愛されすぎてます お嫁さんは「抱き枕」ではありませんっ(ジュエル文庫)
電子書籍 2016年5月25日配信開始 
征服王の激愛 ~人質姫は蜜夜に喘ぐ~(TLスイートノベル)

    お忍び陛下の甘い夜 ~お忍び陛下の専属侍女番外編~      お忍び陛下の甘い夜 2 
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Date:2014/09/14
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